AIの回答精度を一気に上げる「薬膳シチュー」プロンプト術

槙 優真
槙 優真代表取締役 / 現役AI顧問ジェネラルコンサルティンググループ株式会社

【音声で聴く方はこちら(約15分)】

🎧 https://www.general-cg.com/podcast

(テキストで読む方は、このまま読み進めてください)

1. 要点のまとめ

  • AIに適当な指示を出すと「悪くないけど良くもない、どこにでもありそうな回答」しか返ってこないケースが多い
  • 「薬膳シチュー」は「役割・前提・指示・注意点」の4要素を語呂合わせしたプロンプト術
  • Google推奨の王道テクニックを日本人向けに覚えやすくしたもの

※ポッドキャストでは、より詳しく丁寧にお話ししています。音声での視聴が1番オススメです。

2. なぜ「テキトープロンプト」ではダメなのか

ChatGPTの回答に「うーん…」と思ったことはありませんか?

「悪くはないんだけど、なんか物足りない」

「もうちょっと具体的に返してほしいんだけどな」

「結局、自分で手を加えることになって、AIを使う意味あった?」

実は、これってAIが悪いわけじゃありません。指示の出し方が曖昧だから、AIも曖昧な回答しか返せないんです。

例えば、新人スタッフに「ちょっと資料作っといて」とだけ伝えたらどうでしょう?「誰向けですか?」「どんな内容ですか?」と質問攻めにされますよね。情報が足りないと、「とりあえず一般的な資料」しか作れません。

でも、ちょっとしたコツさえ掴めば、AIの回答精度は一気に上がります。

今回紹介するのは、「薬膳シチュー」と名付けた、誰でも使えるプロンプトの書き方。「ヤク・ゼン・シ・チュー」の語呂合わせで、4つの要素を覚えるだけ。たったこれだけで、AIから一発で90点レベルの回答を引き出せるようになります。

しかもこれ、Googleが推奨する王道のプロンプト術を、日本人が覚えやすく実務でサクッと使えるように簡略化したものなんです。

例えば、

「初心者向けAIセミナーの内容案を考えて」

とChatGPTに打ち込むと、こんな回答が返ってきます。

【セミナー構成(例:全90〜120分)】
[1]オープニング(10分)
[2]AIってそもそも何?(15分)
[3]AIの得意なこと・苦手なこと(15分)
[4]実際に使ってみよう!体験パート(20分)
[5]仕事や日常でのAI活用アイデア(15分)
(以下略)

一見悪くなさそうですが、よく見ると問題だらけです。

  • 時間の尺が曖昧:90分?120分?60分しか時間がなかったら?
  • 誰向けか不明:会社員?経営者?業界は?
  • 目的が不明確:何のためのセミナー?

AIは優秀ですが、エスパーではありません。情報が足りなければ、最大公約数を取った当たり障りのない内容しか返せないんです。

3. 「薬膳シチュー」プロンプトとは?

答えは簡単。AIに必要な情報を、しっかり伝えればOK。

そのために使うのが「薬膳シチュー」です。

  • ヤク(役割):AIにどんな役割を担ってほしいか
  • ゼン(前提):どんな背景・状況で、誰に向けて、何を目的にするのか
  • シ(指示):具体的に何をしてほしいのか
  • チュー(注意点):追加で気をつけてほしいこと

実際のプロンプトはこんな感じです。

# 役割
あなたは、AI導入支援に特化したプロのセミナー講師です。

# 前提
個人事業主から社員30名規模の企業を経営する層に向けて、ChatGPTの導入メリットを理解してもらい、セミナー後にAI研修の個別相談へ誘導したいと考えています。講義時間は50分です。

# 指示
以下の条件をふまえて、ChatGPT初心者向けのオンラインセミナーの内容構成案を作成してください。

- 個人規模〜社員30名規模の経営層が対象
- ChatGPTを業務に導入するメリットを理解し、AI研修の個別相談へつなげるのが目的
- 冒頭は興味を引く内容、中盤〜終盤は具体的な活用と費用対効果の事例紹介を盛り込む
- Zoom等のオンライン開催(スライド使用前提)
- 使用ツールはChatGPTのみ

# 注意点
- 当たり障りないつまらない内容はNG
- 経営層向けに特化し、エッジの効いた内容にして

4. Before/After:効果の違い

薬膳シチュー型だと、こんな回答が返ってきます。

タイトル案:
「たった1人分の月給で社内にAIを雇う。ChatGPTが中小企業にもたらす本当のインパクト」

【0〜5分】アイスブレイク
• 「月20万円で全業務の8割を自動化する社員がいたら、雇いますか?」
• 実例のデモ映像で興味喚起

【5〜15分】ChatGPTの基礎とビジネス活用の全体像
• 専門用語を避けた基本説明
• 活用分野のマップ紹介(売上向上、コスト削減、人材不足緩和など)

【15〜30分】具体的な業務活用シナリオ(3選)
1. 営業メール&資料の自動化 → 作業時間3分の1、開封率アップ
2. 社内業務の自動化 → 報告漏れゼロ、マネジメントの質向上
3. 採用・広報コンテンツの生成 → 投稿本数2倍、採用エントリー増

【30〜45分】費用対効果・ROIの試算
• ChatGPTのコスト:月3,000円
• 社員1人の人件費と比較(1日1時間浮けば月3.75万円分の時短効果)

【45〜50分】クロージング+個別相談への誘導

同じ「セミナーの内容を考えて」という依頼でも、まったく違うクオリティです。

  • ターゲットが明確(経営層)
  • 時間が具体的(50分)
  • 目的がハッキリ(AI研修の個別相談へ誘導)
  • 費用対効果を数字で提示

キャッチーなタイトルまで勝手に考えてくれています。

5. 薬膳シチューの元ネタは「Google推奨の王道」

役割・前提・指示・注意点。

4つの要素は、Googleが推奨するプロンプトの書き方に基づいています。

Googleのプロンプトガイドラインでは、次の4つを含めることが推奨されています。

  • ペルソナ(Persona) → 役割
  • タスク(Task) → 指示
  • 背景情報(Context) → 前提
  • 形式(Format) → 注意点

薬膳シチューは、これを日本人が覚えやすいように語呂合わせで簡略化したものです。

「ペルソナ」「タスク」「コンテキスト」「フォーマット」と英語で言われても覚えにくいですよね。でも、「ヤク・ゼン・シ・チュー」なら一度聞いたら忘れない。

しかも、中身はGoogleのお墨付きです。

6. まとめ:今日から使える薬膳シチュー

薬膳シチュープロンプトは、次の4つの要素で構成されています。

  • ヤク(役割):AIにどんな役割を担ってほしいか
  • ゼン(前提):どんな背景・状況で、誰に向けて、何を目的にするのか
  • シ(指示):具体的に何をしてほしいのか
  • チュー(注意点):追加で気をつけてほしいこと

実は、これって人間に指示する時と同じなんです。

新人スタッフに仕事を頼む時も、「あなたはこういう役割で、うちの会社はこういう感じで、具体的にはこれをお願い。注意点はここね」と伝えますよね。

AIも同じです。人に指示するように、丁寧に情報を伝えてあげる。それだけで、AIは驚くほど正確に、あなたの意図を汲み取ってくれます。

ぜひ今日から、「# 役割」と打ち込んで、「あなたは◯◯です」と書いてみてください。

AIの回答が見違えるように変わるはずです。

槙 優真

執筆者

槙 優真

ジェネラルコンサルティンググループ株式会社 代表取締役

現役のAI顧問として、中小企業の経営者に月額3万円〜で直接伴走中。AI活用と売れる仕組みの両輪で、「実利」と「余白」を同時に高める伴走支援を提供しています。