AIに相談すると、いつも賛成されませんか?|賛成を根拠にしない頼み方

槙 優真
槙 優真代表取締役 / 現役AI顧問ジェネラルコンサルティンググループ株式会社

「AIに自分の案を見せたら、とても褒められた」

新しい企画や、LP(商品を申し込んでもらうためのページ)の文章をAIに見せると、たいてい「良いですね」「素晴らしい視点です」という言葉から返ってきます。悪い気はしませんし、背中を押されたような気持ちにもなります。ただ、何を見せても同じように褒められると、本当に良い案なのか、かえって分からなくなってこないでしょうか?

先に結論を書きます。AIは、こちらの案に反対しない方向へ答えやすい相談相手です。ですから「AIも良いと言っていた」は、判断の根拠になりません。そのうえで、次の3つを意識して頼むようにしています。

  1. 賛成が欲しい相談と、反対が欲しい相談を分けて頼む
  2. 反対が欲しいときは、反対を言ってほしいと言葉にして頼む
  3. それでも賛成が続くときは、AIが覚えている自分をいったん外す

この3つで、AIは心地よく頷くだけの相手から、案の穴を一緒に探してくれる壁打ち相手に変わります。

なお、AIが答えた事実が合っているかどうかの確かめ方は、AIの答えの確かめ方を3つに分けた記事にまとめました。この記事で扱うのは、事実の正しさではなく、自分の案に賛成されたときの受け止め方と頼み方です。

【この記事の要点を1枚にまとめた図解】

図解:AIに相談すると、いつも賛成されませんか? 結論は「「AIも良いと言っていた」は、判断の根拠にならない」。賛成を根拠にしない頼み方を3つにまとめています

1. AIに案を見せると、なぜ「良いですね」から始まるのですか?

1-1 頼んだ人に合わせて答えようとするため

AIは、相談してきた人の意図をくみ取り、それに沿うように答えようとします。「この案で進めようと思うのですが、どうでしょう?」と聞けば、進めたい気持ちまで読み取ったうえで、その案の良いところから話し始めるわけです。悪気があるのではなく、頼まれたことに沿って役に立とうとした結果、そうなりやすいのだと思います。

私も講義の中で、AIはこちらの意見に同調して「良いですね」「問題ないですよ」と返しがちだ、という話をよくしています。AIによって度合いには差があり、耳の痛い意見を比較的出してくれるものもある、というのが私の実感です。とはいえ、何も頼まなければ基本的にはこちらに合わせてくる、と考えておくと扱いやすくなります。

1-2 賛成されること自体は悪くありません

誤解のないように書いておくと、賛成されること自体が悪いわけではありません。考えがまとまらないときに良いところを言葉にしてもらうと整理が進みますし、迷っているときに背中を押してもらえるのも、AIのありがたいところです。

気をつけたいのは、その賛成を判断の根拠として使うことです。会議の場で「AIにも聞いたら、良いと言っていました」と伝えたとしても、案そのものは何も確かめられていないのと、ほとんど変わりません。

2. 賛成されると、何が起きるのですか?

2-1 調べるのをやめて、同じ案だけが強くなっていく

賛成されると、人はそこで調べるのをやめてしまいがちです。次の質問も「この案をもっと良くするには?」になり、AIはその方向で案を磨いてくれます。往復を重ねるほど最初の案は立派になっていきますが、その案そのものが合っているかどうかは、一度も確かめられていません。

自分の声が反響して返ってくる部屋のように、自分の考えだけが強まっていく状態を、エコーチェンバーと呼ぶことがあります。AIとの壁打ちでも、同じことが起きやすいのです。

実際、私が担当しているAIの講義でも「LPの改善をAIと壁打ちしていると、自分の考えばかりが返ってきてしまう。どう避ければよいか」という質問をいただいたことがあります。壁打ちのつもりが、いつの間にか自分の考えを確かめ合うだけの時間になっていた、という形です。

2-2 知らない分野ほど、頷くしかなくなる

もう1つ気をつけたいのが、自分の詳しくない分野の相談です。

よく知っている分野なら、AIに賛成されても「いや、ここは違う」と自分で気づけます。ところが詳しくない分野では、AIが自信ありげに賛成し、もっともらしい理由まで添えてくると、それを確かめる手立てがありません。案が良いから賛成されたのか、こちらに合わせて賛成されたのか、見分けがつかないわけです。

自分で判断できない分野では、AIの賛成も説明も、そのまま受け取るしかなくなります。だからこそ、知らない分野の相談ほど、賛成をもらって安心するのではなく、根拠を聞いたり詳しい人に見てもらったりする手間を残しておきたいところです。

3. 反対を言わせるには、どう頼めばよいですか?

3-1 3つの言葉を入れて頼む

先ほどのLPの壁打ちの質問には、こう答えました。プロンプト(AIへの指示文)に「一切の忖度をせずに」「批判的に意見を」「反論意見を」といった言葉を盛り込むと、同調せずに意見をくれやすくなります。たとえば、次のような形です。

指示文の例
次の案について、私の見解に対して一切の忖度をせずに、批判的に意見をください。
反論意見があれば、遠慮なく挙げてください。

- この案がうまくいかないとしたら、どんな理由が考えられるか
- 見落としている前提や、まだ確かめていないことは何か
- それぞれについて、どう確かめればよいか

【案】
(ここに案を貼る)

ポイントは、反対を言ってほしいと言葉にして頼むことです。何も書かなければ、AIは賛成から入ります。頼めば、反対の意見もきちんと出してくれるようになります。

3-2 判断の物差しを先に渡しておく

もう一歩進めるなら、AIに判断の物差しを先に渡しておく方法があります。LPであれば、講座や書籍で学んだ内容をもとに「LP改善の考え方・チェックリスト」のような資料を作っておき、それに照らし合わせて答えさせる形です。物差しがあると、AIは好みではなく基準に沿ってダメ出しをしてくれるようになります。

一度作った物差しは、毎回貼り付けても構いません。ChatGPT・Gemini・Claudeには、資料をあらかじめ置いておける機能もあるので、そこに入れておけば貼る手間も減らせます。

3-3 別のAIにも同じ案を見せる

先ほど書いたとおり、同調の強さはAIによって差があります。1つのAIに賛成されたら、同じ案を別のAIにも見せてみると、違う角度からの意見が返ってくることがあります。

3-4 Aさまが続けている塩梅

クライアントAさまには以前、AIを専属のWebマーケティングチームのような位置づけにして、出てきた内容にツッコミを入れたり、議論したりしながら進めていただくよう、こうお伝えしたことがあります。

AIはだいぶ賢くなっていますが、時々分析もミスすることがあるので、100%信じきらず、しっかり壁打ちする、という絶妙な塩梅がポイントです。

これに対して、Aさまからはこう返ってきました。

私が知らない部分や不得意な分野でミスをされると、お手上げです。少しおかしいと感じた時は、あえて反対意見を述べさせることで壁打ちすることはよくありますが、やはり壁打ち相手というレベルではあるのですね。

少しおかしいと感じたら、反対を言わせる。そして、AIはあくまで壁打ち相手として扱う。Aさまが普段から続けていたこの使い方が、AIの賛成に流されないための、いちばん手軽な方法だと思います。

4. それでも賛成が続くときは、どうすればよいですか?

4-1 AIが覚えている自分が、答えを狭めていることがある

反対を頼んでも、どこか似たような答えばかりが返ってくる。そんなときは、AIが覚えている「あなた」が、答えの幅を狭めているのかもしれません。

ChatGPT・Gemini・Claudeには、過去のやり取りや、こちらが伝えた情報を覚えておく機能があります(メモリ機能などと呼ばれます)。覚えてもらうと、毎回説明しなくても自分に合った答えが返ってくるので、本来はとても便利な機能です。ところが、新しい考えが欲しい相談では、これが裏目に出ることがあります。

ご相談いただいた方の中に、新しいキャリアの考えを出してほしいのに、AIが過去に相談した分野の話ばかりを返してくる、という方がいました。経歴をもとに新しい考えを、と頼むと、今度はまったく関係のない職種が出てくる。覚えている内容に引っぱられるか、かけ離れすぎるかの、両極端になってしまったわけです。

4-2 「ゼロベースで」と「NG例と理由」をセットで頼む

このときにお伝えしたのは、次のような頼み方です。

指示文の例
メモリに保存されている◯◯に拘らず、ゼロベースで考えてください。
ただし、明らかに全く関係ないものを出すのはNGです。
(NG例:◯◯は、◯◯という理由でかけ離れすぎるのでNG)

「①ゼロベースで考えること」と「②NG例と理由」をセットで渡すのがポイントです。①だけだと、かけ離れた答えに振れやすくなります。②で「ここまでは離れすぎ」という線を示しておくと、覚えている内容に縛られず、それでいて的外れでもない答えが返ってきやすくなります。

4-3 覚えさせることと外すことは両立します

AIに自分のことを覚えさせる使い方は、AIを"毎回初対面"から、"自分を知り尽くしたアシスタント"に変えるで書いたとおり、普段の仕事ではとても役に立ちます。外すのは、新しい考えや反対意見が欲しい相談のときだけで構いません。

覚えている内容を使わずに話せる、一時的なチャットのような機能を持つAIも多くあります。普段は覚えさせたまま使い、ゼロから考えてほしい相談だけそちらで聞く、という分け方もできます。

5. 賛成が欲しい相談と反対が欲しい相談は、どう分ければよいですか?

5-1 頼む前に、どちらの相談かを決める

ここまで書いてきたことを、毎回すべてやる必要はありません。大事なのは、AIに相談する前に、これは賛成が欲しい相談なのか、反対が欲しい相談なのかを自分で決めておくことです。

賛成が欲しい相談 反対が欲しい相談
場面 考えを整理したい、迷っていて背中を押してほしい 決める前に、案の穴を探したい
頼み方 良いところを言葉にしてもらう 忖度せず、批判的に、反論を、と頼む
例 頭の中の構想を文章にまとめる、自分の強みを書き出す 新しい商品の値段、LPの訴求、大きな出費を伴う判断
受け取り方 励ましや整理として受け取る 採るかどうかは自分で決める

賛成が欲しい相談で、AIに賛成されるのは自然なことです。困るのは、反対が欲しい相談のつもりでいながら、賛成をもらって安心してしまうことでしょう。お金や人が動く判断や、あとから戻しにくい判断ほど、反対が欲しい相談として頼んでおくと見落としが減ります。

5-2 最後に決めるのは自分です

反対意見を頼むと、今度はAIが厳しいことを言ってきます。そのすべてに従う必要はなく、反対意見は、自分の案を確かめるための材料として使います。出てきた懸念のうち、確かめたら問題なかったものは外し、本当に引っかかるものだけを直す。そのうえで、最後に決めるのは自分です。

AIは、賛成もできれば、反対もできる相談相手です。どちらを頼むかを先に決め、出てきた答えを自分の判断の材料に使う。この順番で頼むと、AIとの壁打ちは、案を磨く時間としてよく働いてくれます。

5-3 当社の場合

当社のAI顧問では、AIの使い方そのものだけでなく、AIから出てきた答えをどう受け止めるかも、一緒に見ていきます。Aさまとのやり取りのように、AIとの壁打ちの結果をチャットで共有いただくと、気になる点にその場で気づけるのも、伴走の良いところです。AIの答えに、会社の事情を知っている人間の目がもう1つ入ると、賛成にも反対にも振り回されにくくなります。

料金は月5万円からで、代表本人が対応します。詳しくはサービス詳細ページをご覧ください。今AIとどんな相談をしているか、どこで判断に迷っているかを、無料の壁打ちで聞かせていただくところからでも構いません。

6. まとめ

  • AIは、こちらの案に合わせて答えやすい相談相手です。「AIも良いと言っていた」は、判断の根拠になりません
  • 賛成されると調べるのをやめ、同じ案だけが強まっていきます。知らない分野ほど、そのまま信じてしまいやすくなります
  • 反対が欲しいときは「一切の忖度をせずに」「批判的に意見を」「反論意見を」と言葉にして頼みます。判断の物差しを先に渡すと、さらに効きます
  • 賛成が続くときは、AIが覚えている自分をいったん外し、ゼロベースで、NG例と理由をつけて頼みます
  • 相談する前に、賛成が欲しいのか反対が欲しいのかを決めておくと、AIとの壁打ちが案を磨く時間になります

7. FAQ|AIへの相談と壁打ちについてよくある質問

Q1:AIが「良いですね」と言うのは、本当に良いという意味ではないのですか?

A. 本当に良い場合もありますが、AIはこちらの意図に合わせて答えやすいため「良いですね」だけでは判断がつきません。良い点と一緒に、懸念点やまだ確かめていないことも挙げてもらうと、その案の実際の姿が見えてきます。

Q2:反対意見を頼むと、何でも否定されてしまいませんか?

A. 頼み方によっては、否定のための否定が返ってくることもあります。そのときは、反対の理由と、どう確かめればよいかもセットで出してもらうと、役に立つ懸念とそうでない懸念を分けやすくなります。どれを採るかは、ご自身で決めて構いません。

Q3:ChatGPT・Gemini・Claudeのどれでも、同じ頼み方で使えますか?

A. はい、考え方はどれでも同じです。ただ、同調の強さには違いがあるため、1つのAIで賛成されたら、別のAIにも同じ案を見せると、違う角度からの意見が返ってくることがあります。

Q4:AIのメモリ機能は、オフにしたほうがよいですか?

A. 普段はオンのままで構いません。自分のことを覚えてもらうと、毎回の説明が減り、答えも自分に合ったものになるためです。新しい考えや反対意見が欲しい相談のときだけ「メモリに保存されている内容に拘らず、ゼロベースで考えてください」と頼むか、覚えている内容を使わない一時的なチャットで聞く方法をおすすめしています。

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槙 優真

執筆者

槙 優真

ジェネラルコンサルティンググループ株式会社 代表取締役

現役のAI顧問として、中小企業の経営者に月額5万円〜で直接伴走中。AI活用と売れる仕組みの両輪で、「実利」と「余白」を同時に高める伴走支援を提供しています。

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